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【第2話】エリア51探検記(2-1)|ヒカルランドClub (ヒカルランドクラブ)


【第2話】エリア51探検記(2-1)

編集部註

当連載は保江邦夫氏が過去に『バウンダリー』という雑誌にペンネームで連載していた原稿をまとめたものです。ペンネームに関わる部分など、一部改稿致しました。

5.ルート66で聞いたUFO墜落事件

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3人の中で唯一英語をネイティブとするスコットを助手席に乗せ、

私はセドナからハイウェイを抜けてフラグスタッフでロスに向かうフリーウェイに合流しました。

アメリカ中部の産業地帯と西海岸の大都会ロスを結ぶ幹線道路だけあって、半数以上が巨大なトレーラー・トラックの群れ。

トラッカー達は、皆気のいい連中なのですが、それでもついスピルバーグの「激突」を思い出して、こういう道を走るのはあまり気乗りはしません。

セドナに来るときは時間を稼ぐ意味で、やむなくこのフリーウェイを飛ばしてきたのですが、

今日は日のあるうちにラスベガスにたどり着けばいいので、

私は適当な所でフリーウェイを離れ、平行して走っている古いハイウェイをのんびりと滑ることにしました。

それに、フリーウェイばかり走っていたのでは、

せっかく外国から来たこの2人にアメリカ西部の開拓時代の名残を味わってもらうこともできなくなってしまうのです。

このハイウェイは、ルート66と呼ばれ、

かなり昔に流行ったアメリカのテレビドラマのタイトルにもなったことがあるそうで、

なかなか味のある雰囲気を漂わせています。

これにはマリアンヌもスコットも大いに喜んでくれ、

私もラジオから流れるウェスタンのヴォリュームを上げ、

鼻歌混じりでどこまでも真っ直ぐな田舎道をドラマの主人公にでもなった気分で走っていきました。

 

午後1時をだいぶまわった頃、あと50マイルくらいでルート66から離れてフーバーダムを経由した山越えでラスベガスに向かうことを地図で確認したスコットが、ランチ・ブレイクを提案しました。

ちょうど小さな村に差し掛かっていたので、

私は道路脇の如何にも田舎風の店に車を止め、2人を促して中へ入っていったのです。

なかなか雰囲気のいい店には、明らかに村の人とわかる客が数人いただけで、

私達はルート66を見渡す窓縁のテーブルに腰を落ちつけました。

赤毛の若いウェイトレスが愛想良く渡してくれたメニューを見ると、

何とちゃんとした新聞になっているではありませんか。

聞くと、この店はルート66でいまもやっている昔からの店の中で、一番古い店として有名なのだそうです。

そのため、全米からやってくる観光客のために、ルート66やその店の生い立ちなどを新聞形式で印刷したものをメニューにしているそうです。

 

朝からずっと車を飛ばしてきた3人の胃袋は、まるで真空ポンプのように料理を平らげ、

デザートのアイスクリームを頬張りながら、これから訪れようとしているブルー・ダイヤモンド・ヴォーテックスの話になったのです。

スコットはセドナ・ヴォーテックスで聞いた、UFOが頻繁に飛来するという話を蒸し返し、

彼が大学院の親友から聞いたというUFOとカナダ空軍との接近遭遇について語り始めました。

それによると、アメリカとの国境に近いカナダ東部にあるカナダ空軍の基地に、

ある晩UFO(未確認飛行物体)が飛来し、

中から現れた宇宙人(エイリアン)らしき存在が多数の兵士や将校によって目撃されたのですが、

カナダ政府はこの事件のことは完全に否定しているそうです。

へー、やはりどこの国にもUFOに関する目撃談があるものだ、と感心していた私は、

背後から突然に声をかけられ、一瞬ドキリとした表情になってしまっていたようです。

反対側に座っていたマリアンヌからは、私の後ろに座っていた人がこちらを振り返っていたのが見えていましたので、

別になんということはなく、唯ひとりビックリした私を見て笑い転げていました。

 

「大丈夫、エイリアンじゃないわよ」という彼女の笑い声に、

私の後ろで振り向いた男は、「ソーリー」と言いながら私達に話しかけてきたのです。

「君等は、キングマンに墜落したUFOのことを調べようとしているのかい?」

キングマンというのは、確か私達がこれから行こうとしている、ルート66から山越えでラスベガスに向かう道への分岐点にある街だったはずです。

しかし、そこにUFOが墜落したなどとは、まったくの寝耳に水。

きょとんとしている3人の若者の表情に、いささか肩すかしをくった感じの男は、

「あー、違うのならいいんだ。失敬」といって店を出ていってしまいました。

私達は互いに顔を見合わせて、「ワオー、ユー・エフ・オー・クラッシュ・イン・キングマン!」といって、

そのときは無責任に盛り上がっていたのです。

赤毛のウェイトレスにお勘定をはらう段に、茶目っ気のあるスコットはチップを置きながら聞きました。

「ヘイ、さっきの客はいつもUFOに乗って食べに来るのかい?」

突然に背後から話しかけられてビックリした私は、何となく後味が悪く、ちょっと気になったので、「オー、ノー」とスコットに笑うウェイトレスに向かって聞いてみることにしました。

「でも、キングマンにUFOが落ちたというのは本当なのかい?」

答えは、彼女自身はよく知らないが、確かに昔からこの辺りに住んでいる年寄り達の中には、時々そんなことを言う人もいるというものでした。

それによると、墜落自体は、なんでも、1950年頃の話なのだそうです。

「じゃあ、40年以上の昔というわけだから、例え本当の話でも、もう何も残ってやしないね」

そう言い終えた私はテーブルにチップを残して、スコットとマリアンヌにウインクしました。「同志諸君、そろそろアルファー・センタウリ行きのUFO発進の時間だ、フォロー・ミー」

笑い転げるウェイトレスに手を振った3人は、UFOならぬリンカーンのタウンカーに乗り込み、

昔UFOが墜落したであろうキングマンの周辺をキョロキョロと好奇心溢れる6個の眼で眺め回しながら、

一路ラスベガスへと、ルート66に別れを告げたのでした。

キングマンからラスベガスに向かうハイウェイは、フーバーダムのある高地に差し掛かるまで、

どこまでも真っ直ぐ、砂漠の中を突っ切っていました。

さっきの店を出てからは、スコットは後ろの座席で横になってくつろぎたいというので、マリアンヌが助手席にやってきていました。

ゆっくりとした英語を話してくれる彼女は、私にとってはスコットよりも話し相手として好都合でしたので、

ついつい彼女の方に気を取られているうちに、いつの間にかハイウェイパトロールにつけられていたことに気づきました。

むろん、広野の一本道ですから、制限速度の時速50マイルを30マイル以上オーバーしていたのは確かです。

サイレンを鳴らして、私に停車を命じたパトカーは、路肩に止めたタウンカーの後方でこちらの様子を窺っているようです。

暫しの沈黙の後、パトカーから中年の警官が出てきたのを見たスコットは、

初めてのことに助手席で不安がっているマリアンヌに向かって声をかけていました。

「ヘイ、大丈夫。アメリカやカナダじゃあ、こんなのはしょっちゅうだからね。

ほら、見てごらん、クニオは映画に出てくる犯人のように、

ちゃんと窓ガラスを開けてから両手をハンドルの上に置いているだろ。

僕らも警官から両手と顔が見えるように大人しく座ってさえいれば、

罰金80ドルのチケットを切って帰って行くだけなのさ。

まあ、君があと10センチ、スカートの丈を短くして座ってくれれば、チケットも切られずにすむかもしれないけどね」

スコットのジョークで少し元気になったマリアンヌが座りなおしてくれたおかげかどうか、

旅行者風の3人が持つ日本とフランスとカナダのパスポートを調べた警官は、

「スピード・ダウン」と言い残して去っていっいきました。

「クール!」やったぞといわんばかりの3人は、躍り上がって、

しかしまだ私達をパトカーから眺めているハイウェイパトロールの手前、

時速50マイルでゆっくりとフーバーダムを目指したのです。

 

ミード湖の水圧に耐える巨大なフーバーダムを見物しながら、アリゾナ州からネバダ州へと入っていく頃には、マリアンヌもすっかり元気を取り戻し、

これがアメリカの底力に違いないと、砂漠の真ん中の岩山の谷をせき止めて作った広大な人工湖の青さに見入っていました。

ここまで来れば、ラスベガスは目と鼻の先。

私も、見慣れてはいたミード湖のギラギラとした湖面を眺め、

改めてこれを作り上げたアメリカ人の開拓精神と科学力に敬意を表したのです。

実は、だいぶ後になってからわかったのですが、この人工のミード湖の水中には、

いまでもUFOが停泊しているという、幾分トンでもない話もあるそうです。

そういう噂が、しゃあしゃあと飛び交う風土も、アメリカの良さといえば良さなのでしょうが。

 

ネバダ砂漠の向こうに突然に巨大な街が現れたかと思うと、ハイウェイがそのまま広いフリーウェイになっていき、

その両側にホテルやカジノの看板が、これでもかといわんばかりに乱立。

「一晩15ドルですって!」「いや、こっちのは12ドルだ!」

話には聞いていたらしいのですが、スコットもマリアンヌもホテルの安さに目を丸くしていました。

「ラスベガスで必ず儲かる方法を知っているかい?」

私のからかうような目つきに、2人はスロットマシンの秘訣でも伝授してもらえるのかと思ったようなのですが、

それでも私が用意していた答に、なるほどと頷いてくれたのです。

「全米一安くて豪華なホテルに泊まって、ただ同然のTボーンステーキとロブスターを食べて、決してカジノには行かないことだよ」

 

というわけで、私達3人は真っ黒い大きなピラミッドや青色の巨大ライオンの形をした有名ホテルなどには目もくれず、

トロピカル通りを街からかなり外れたあたりにあった一泊14ドルの小綺麗なモーテルに3つ部屋を取ることにしました。

もちろん、カジノが隣接しているのですが、私達はレストランでそれこそただ同然のロブスターに舌鼓を打ち、

隣のバーに移動してからビールで乾杯し、カジノには目もくれませんでした。

これはあまり知られていませんが、ネバダ州は賭博が公認されている反面、アルコールに対してはとても厳しい法律があるのです。

ですから、私達もバー以外ではビールすら飲むことができないわけです。

レストランではアルコール飲料は出せないため、

どうしても食事中に飲みたい人は断った上でバーで買って持ち込まないといけません。

翌朝は早く起きて、ブルー・ダイヤモンド・ヴォーテックスを見物してから、

2人にデスバレーを見せ、その後メンローパークの私のアパートまで一気に行ってしまおうと考えていた私は、

その日の運転の疲れを取っておいてしまわなければならないと思い、

まだ飲んでいたスコットやマリアンヌにおやすみを言って、熱いシャワーを浴びてから横になりました。

 

しかし、ルート66の店で突然に背後から声を掛けてきた男のことや、

40年以上も前にキングマンに墜落したとかいうUFOの噂のこと、

さらにはセドナを出発するときからずっとバックミラーには注意して確かめていたはずなのに、

いつの間にかハイウェイパトロールにスピード違反で止められることになってしまったことなどが気になり、

ウトウトしてもすぐに目が覚めてしまうのでした。

 

スコットやマリアンヌも同様だったと見え、翌朝は3人とも明らかに睡眠不足の顔で朝食をすませ、

ラスベガスの街を離れてから、ハイウェーを西に向かいました。

スコットが昨夜バーテンに聞いても、ブルー・ダイヤモンド・ヴォーテックスのことはわからなかったのですが、

バーテンの言うには、ラスベガスの西に広がる山中にブルー・ダイヤモンドという名前の小さな村がある由。

おそらくその近くにブルー・ダイヤモンド・ヴォーテックスがあるに違いないと思った私達は、

地図で確認した後、ハイウェイを離れ、荒れた禿げ山の上に向かう細いワインディング・ロードへと車を滑らせていったのです。

 

6.ブルー・ダイヤモンド・ヴォーテックス

セドナの赤茶けた山肌とは対照的に、この辺りの山土は白っぽく乾燥し、所々に乾いた緑が散りばめられていました。

大排気量に物をいわせ、ワインディング・ロードを滑るように登っていった私のタウンカーの鼻先に、不意に小さな道路標識が現れ、

ブルー・ダイヤモンドに着いたことがわかったときには、3人とも、

「何だ、セドナに比べれば、随分とあっけないところだ」

と、拍子抜けの顔を見合わせたのです。

別にダート・ロードを走ることもなく、ごく普通にたどり着けた村は、路肩に止めた車から少し見おろした所にある、

明らかに山に囲まれたセドナ・ヴォーテックス程度の窪地に、全部で10軒程の家が点在している集落と言った方が適切なものでした。

村には1本の道が蛇行して走っているだけで、何も変わったところはありません。

この村自体がヴォーテックスの中にあるといっても何となく信じてしまう程、

村を収めた窪地はセドナで見たヴォーテックスの形状に似ていました。

しかし、この近くのどこかに、ちゃんとブルー・ダイヤモンド・ヴォーテックスがあるかもしれないと思った私達は、

とりあえず眼下の村まで下りていって、村人に聞いてみることにしたのです。

蛇行した狭い道に沿って車をゆっくりと走らせていくと、朝だというのにどの家にも人の気配がありません。

庭に顔を出している人くらいいるだろうと考えていた私達は、とまどいながら、村のほぼ真ん中に差し掛かりました。

そのとき、スコットが、「あそこにドラッグストアーがある、あそこに行ってみよう」と言い、

私の肩を叩いたのです。

 

明らかに民家の軒先を改造したドラッグストアーには、驚いたことに、「保安官(シェリフ)事務所」とも書かれていました。

「少なくとも、これで何も買わなくても聞き出せるわけだ」スコットは看板を指さしながらおどけて見せたのですが、

私とマリアンヌは村に入ったときから何となく人に見られているような気がしてなりませんでした。

不安げな2人に向かって、「そりゃあ、君達は明らかによそ者だからね、まあ、ここは僕にまかせてくれ」 そう言うが早いか、

スコットは保安官事務所兼ドラッグストアーに入っていきました。

もちろん、残された2人も、後に続きます。

中は、どこにでもあるような小さなドラッグストアーの作りになっていて、

カウンターにいる太ったおばさんにスコットが「シェリフはいるかい?」と尋ねていました。

「いや、盗難事件で駆り出されていて、昼飯にしか帰ってこないよ。何か問題でも?」

というおばさんに向かってスコットは続けました。

「じゃあ、誰か助手はいないのかな、この辺のことに詳しい」

これを聞いたおばさんは笑い飛ばしながら、答えたのです。

「私は子供の頃からこの村で暮らしていて、この辺りのことならあのボンクラよりは、よっぽど詳しいのさ。

あんなの当てにしないで、私にお聞きよ」

いささか圧倒された感のあったスコットでしたが、気を取り直して、

明らかに保安官の奥さんとわかるこの女性にブルー・ダイヤモンド・ヴォーテックスについて尋ねたのですが、逆に、

「何だって? ブルー・ダイヤモンドの次の、その何て言ったっけ、そう、ヴォルテックスとかいうのは、いったい何なんだね?」

と言われてしまいました。

「じゃあ、この辺りで、何か変わったことは?」

と仕切り直すスコットに、

「サムシング・ストレンジ? そうだね、あんたのような連中が時々尋ねてきては、わけのわからないことを聞くくらいのことかね」

これには、さすがのスコットも参ったようです。

そろそろ、援軍を繰り出してあげなければ。

スコットの後ろで成り行きを見守っていた私は、ふとセドナ・ヴォーテックスのガイドが別れ際に言った言葉を思い出したのです。

「もし、本当にブルー・ダイヤモンド・ヴォーテックスに行くのなら、この俺の名刺を見せてくれ。

そうでないと、連中は君達のことを警戒して、おそらく何も教えてはくれないだろうから」

財布から取り出した皺くちゃのカードを私が見せると、おばさんは、

「あんた、インディアンかい?」

と聞いてきました。

そういえば、ヴォーテックスというのは、そもそもアメリカインディアンの聖地だった所。

これは、インディアンに成りすましておいた方が好都合。

ピンときた私は、至極平然とした顔を縦に振ったのです。

「なるほどね、あんたもあの山の向こうに興味があるというわけかい?」

おばさんは店の窓から見える連なった山々を顎で指し示しました。

え、山の向こう?

一体全体何のことやら、私にはさっぱりわかりませんでしたが、

ひょっとしたらブルー・ダイヤモンド・ヴォーテックスはその山の向こうにあるのでは。

そう閃いた私は、再び無言で首を縦に振ったのです。

しかし、その後におばさんの口から飛び出たのは、私達3人にとって意外な話だったのです。

 

「あんた、せっかくセドナから来てくれたのに、悪いけどね。

私ら、何も教えてはあげられないのさ。

いや、悪気があるわけじゃないんだけど、ヤバいんだよ。

もし、どうしても興味があるんなら、自分達で行って見てきてごらんよ。

ただ、あんまり奧に入っていくと、軍隊のヘリコプターがやってきて捕まってしまうから、気をつけるんだよ。

村の連中で、そのまま連れて行かれて、半年後にやっと帰れた奴等だっているんだ。

もちろん、何があったのかは、それからずっとダンマリを決め込んでいるからわかりやしないけどね」

 

軍隊のヘリコプター!

3人とも真剣な顔つきになって、互いに顔を見合わせました。

なぜ、ブルー・ダイヤモンド・ヴォーテックスに行っただけで、軍隊のヘリコプターに捕まらなければいけないのか、私達には全く理解できませんでしたが、

先程までと違って、カードを見せてからのおばさんの雰囲気は誠実そのものでした。

でも、もうこれ以上は関わらないでくれといいたげな表情で奧に行こうとするおばさんを止めることは、とても私達にはかないません。

私は、スコットとマリアンヌを誘って、店の外に出たのです。

無言で足早に車の中に入った私達は、村全体を覆う異様な雰囲気を感じ取り、

逃げるように村はずれまで登っていきました。

 

第3話 「エリア51探検記(2-2)」に続く

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